日本にいたころ、私は気にしていませんでした
正直に書きます。
日本に住んでいたころ、私はオーガニックにも有機栽培にも、まったく関心がありませんでした。
持っていたのは、たったひとつのイメージだけです。
オーガニック=高い。
棚に並んでいれば、値段だけ見て通り過ぎていました。 なぜ高いのかを、考えたこともありませんでした。
よその国では、それが当たり前でした
変わったのは、日本の外に出てからです。
よその国を見ていると、オーガニックがふつうのこととして 成り立っている国がありました。特別なものでも、高級品でもなく、そこにあるもの。 日本で持っていたイメージは、日本の中だけのものだったのだと気づきました。
私はいまタイに住んでいます。こちらでは、オーガニックの野菜をつくっている方たちと 自然に関わる機会がたくさんできました。 こだわっていたわけではありません。ただ、近くにあったのです。
耕地のうち、有機農業が行われている割合
- 日本
- 0.9%
- EU全体
- 10.9%
- オーストリア
- 27.3%
日本:農林水産省「日本の有機農業の取組面積について」令和6年度末時点。
EU・オーストリア:FiBL & IFOAM(2023年データ)。
日本が遅れている、と責めたいわけではありません。
日本には日本の気候があり、湿気があり、草の勢いがあります。同じようにはいきません。
ただ、「高いから縁がないもの」ではなかったということは、
外に出てはじめて分かりました。
知るにつれて、確信に変わりました
中身を知っていくうちに、思うようになりました。
地球全体が、オーガニックを当たり前にしていくべきだと。
人の健康のためにも、地球のためにも、農薬は使わないほうがいい。
手間がかかっても、時間がかかっても、間違った育て方をしてはいけない。
いまはそう確信しています。
これは野菜だけの話ではないと思っています。 人の育ち方も、仕事の覚え方も、いま急に増えたAIのような道具も、同じではないでしょうか。 便利にやられて、便利じゃなくなっている。 そういう時代になってきているように、私には見えます。
楽すれば 楽が邪魔して 楽ならず
昔から伝わる歌。作者は定かではありません。
楽せぬ楽が はるか楽々
近道をした分だけ、あとで遠回りになる。
一度立ち止まって考えたほうがいい。そう思うようになりました。
いちばん大変なのは、農家さんです
そして、この道でいちばん大変な思いをしているのは、まちがいなく農家さんです。
丹精込めて作ったものを市場に出すと、手元に残るお金がどうしても少なくなる。 形が少し曲がっているだけで、行き場がなくなる。 そういう話も、いくつも聞いてきました。
聞くたびに、順番がおかしいと思っていました。
いちばん手をかけた人のところに、いちばん少ししか残らない。
「有機」と名乗れるのは、3人に1人です
調べていて、いちばん手が止まったのがここでした。
日本で有機農業に取り組んでいる人は約1万2千人。 そのうち有機JASの認証を持っている農家は4,075戸。 面積で見ても、有機農業をしている土地の3分の1は認証を受けていません。
認証がないと、法律上「有機」とも「オーガニック」とも書けません。 同じ土、同じ手間、同じ年月をかけていても、書けないのです。
認証を取るには、初年度でおよそ10万〜15万円。しかも一度きりではなく、 毎年かかります。検査員の交通費も農家さんの負担です。
そして毎日、記録をつけます。いつ、どのほ場で、どんな作業をしたか。 使った種と資材は何で、どれだけの量だったか。それを年に一度、検査で確かめてもらいます。
費用は『現代農業WEB』(2025年3月)および認証機関の公表料金より。記録・検査の要件は有機JAS規格Q&Aより。
国の会議でも、こんな声が出ています。
「名前は残すが、今年はもう取得しないよと言われるような農家もいらっしゃるのが現実問題」
食料・農業・農村政策審議会 果樹・有機部会(令和7年12月23日)議事録より
「有機も大変なんですよ。草との闘いですから」
同 議事録より
草との闘い。この一言に、全部が入っていると思いました。
除草剤を使わないということは、代わりに自分の体を使うということです。 それを何年も、何十年も続けている。 有機農業を続けている人の4人に1人は、30年以上やっている人です。
立ち上がれる人から、立ち上がる
本当は、国と一緒に向き合っていけたらいいのだと思います。
ただ、いまの日本の仕組みを見ていると、それを待っている時間はないようにも思うのです。
待っているあいだにも、畑をたたむ人がいます。
認証をやめる人がいます。草との闘いから降りる人がいます。
それなら、立ち上がれる人たちだけで立ち上がればいい。
小さくても、そこから始めるしかないのだと思います。
だから、こういう場所にします
愛とありがとうは、有機・オーガニックを専門にした産直の場所にしていきます。 そのうえで、5つのことをお約束します。
一、認証がない方も、同じようにお迎えします
認証は「やっている証明」であって、「やっているかどうか」そのものではありません。 認証をお持ちの方はもちろん、まだ取っていない方、あえて取らない方も、同じようにお迎えします。 認証の有無で、扱いを変えません。
二、法律は、きちんと守ります
有機JASの認証がない商品に「有機」「オーガニック」とは書きません。JAS法で禁じられているからです。 「無農薬」「減農薬」も書きません。こちらは農林水産省が使わないよう定めた言葉です。
その代わり、実際にやってきたことを、そのまま書ける欄をご用意します。 何年つづけているか。草をどうしているか。土に何を入れているか。 言葉を飾らなくても、それは十分に伝わると思っています。
三、値段は、農家さんが決めます
こちらから値下げをお願いすることはありません。安売り競争もしません。
手数料は商品代の12%から。送料には手数料をいただきません。
宅配便に払うお金から、こちらが取り分を抜くのは筋が通らないからです。
送料も、農家さんが決めます。
値段の中に送料を溶かしてしまうと、商品が高く見えて、農家さんが損をします。
お客さまにも「何にいくら払っているのか」が見えません。だから、分けて出します。
四、嘘は、ひとつも載せません
よそから借りてきた写真は使いません。作り話のお客さまの声は載せません。 実在しない農家さんも作りません。 写真がまだ無い商品には「写真は準備中です」と出します。それでいいと思っています。
五、困ったときの窓口は、こちらが持ちます
お客さまからのお申し出は、こちらが受けます。ひとつでも傷んでいたら、数の多少にかかわらずお受けします。 農家さんとお客さまが直接やり取りする必要はありません。まずこちらが受けて、こちらが先にお返しします。 農家さんには、畑にいていただきたいのです。
そのうえで、正直に書いておきます。費用まで全部こちらが持つ、という意味ではありません。 商品そのものが傷んでいた・数が足りなかったという場合の代替品や返金は、農家さんのご負担になります。 配送中の事故は、宅配会社への請求手続きをこちらが代行します。 そして――原因がどちらとも決められないときは、こちらが持ちます。 「たぶん農家さんのせいでしょう」で押しつけることは、しません。
どんなときに誰が持つのか、くわしい分担は 農家さんの方へ のページに、すべて表にして出しています。隠さずに、先に読んでいただける形にしておくのが筋だと思うからです。
先に言っておきたいこと
まだ始まったばかりのサイトです。お客さまの数も、これから増やしていくところです。 「すぐにたくさん売れます」とは言えません。言えないので、言いません。
有機の道が楽ではないことも、承知しています。 収量は落ちます。手はかかります。理解されないこともあると聞きます。 畑の隣で農薬が撒かれることを心配しながら、旗を立てている方もいる。 それを外から「素晴らしいですね」と言うだけの立場でいるつもりは、ありません。
私にできるのは、ご縁をつなぐことだけです
私は畑を耕せません。草も取れません。土のことも、あなたにはとても敵いません。
私にできるのは、ご縁をつないでいくこと。
これしかできません。だから、このサイトを立ち上げました。
あなたが育てたものを、それを待っている人のところへ届ける。
その間をつなぐ。それだけです。
いいものが作れて、いいものがお客さまの手に渡る。
作った人も、食べる人も、つないだ側も、みんなが良かったと思える。
そういう形にしたい。そこは、責任を持ってやります。
Arigatou
つづけてくださって
ありがとうございます
あなたが草を取った分だけ、その土は生きています。
あなたが農薬を撒かなかった分だけ、その水はきれいなままです。
誰にも見られていない朝の畑で、 誰にも褒められないまま、何年も何十年もつづけてこられた。
その時間に、ありがとうを言わせてください。
愛とありがとうは、その「ありがとう」を渡すために作りました。
話を聞いてみたいと思ってくださったら、
「まず聞いてみたいだけ」で構いません。お待ちしています。
このページの数字は、すべて公表資料によるものです。
有機農業の取組面積・農業者数・認証戸数:農林水産省「日本の有機農業の取組面積について」(令和8年6月公表、令和6年度末時点)および「有機農業をめぐる事情」(令和8年4月)。
諸外国の割合:FiBL & IFOAM『The World of Organic Agriculture』(2023年データ)。
取組年数:農林水産省「令和7年度 有機農業及び有機食品に関する意識・意向調査結果」(令和8年3月公表)。
認証費用:『現代農業WEB』(2025年3月)および各認証機関の公表料金。
生産者の発言:食料・農業・農村政策審議会 果樹・有機部会 議事録(令和7年12月23日)。